WAKKANAI × SHIGOTO

稚内ではたらく。
3社探求ノート

北海道稚内高等学校 就職ガイダンス 資料
きょう、ずっと持っておく問い

この仕事は、稚内の
「誰の」「何の」役に立っていますか?

3つの会社を、この問いのメガネで見てみよう。読み終わるころ、自分の言葉で答えられるようになっているはず。
01|金融

稚内信用金庫

日本最北の信用金庫。宗谷の「お金の血流」を守る仕事。

1どんな会社?

なにをする組織預金・融資・年金・ローンなどの金融機関。愛称「わかしん」
創業1945年(終戦の年)に職員5名でスタート。日本最北の信用金庫
本店稚内市中央3丁目(稚内駅から徒歩5分)
店舗網全24店舗。稚内市内5+宗谷管内10(礼文・利尻・猿払・浜頓別など)+旭川・札幌など
規模職員約240名/預金残高 4,609億円(2026年3月末)

2「銀行」と何がちがう?

信用金庫は株式会社ではなく、地域の人や会社が「会員」になって支え合う協同組織。営業できる地域は法律で決まっていて、集めたお金はその地域に還す仕組みになっている。

  • 信条は「稚内信用金庫は地元と共に繁栄します」。キャッチフレーズは「こころのかよう」
  • 自己資本比率 約61%——実は国内金融機関トップクラスの健全さ。「絶対に潰れない金融機関を地域に残す」という経営
  • シンボルマークは利尻富士と海。まちの風景がそのままロゴになっている

3稚内の誰の・何の役に立っている?

まち全体の
お金の流れの役に。宗谷管内の預金の80%以上を預かり、稚内市をはじめほぼすべての市町村の「指定金融機関」。税金・給料・公共料金——まちのお金の血流そのものを回している。
ホタテ漁師・水産会社の
ピンチの役に。2023年、中国が水産物の輸入を止めたとき、販路を断たれた地元水産業者向けに緊急の特別融資制度をすぐ創設。コロナ禍の2020年にも同じ動きをした。
利尻島・礼文島の島民の
くらしの役に。銀行が撤退しがちな離島に3つの支店を維持し、新築までしている。島のおじいちゃんおばあちゃんが年金を受け取れる窓口を、島の中に残し続けている。
これから店を開く人の
挑戦の役に。「わっかないBizCafe」で起業を支援し、開業資金の融資も。若手経営者の会「てっぺん塾」を作り、次の稚内の商売人を育てている。
子どもも大人も
楽しみの役に。札幌交響楽団の稚内公演、ウィンターフェス(スキー・カーリング教室)、みどりスポーツパークのネーミングライツ——まちの文化とスポーツにもお金と人を出している。

4ここで働く人

  • 窓口:入出金や定期預金の手続き。「お客様はほとんど顔見知り」の世界
  • 渉外:営業車で会社や家を回り、預金・融資を提案。先輩は苗字でなく下の名前で呼ばれるほどの関係を作る
  • 本部:融資の審査、資金の運用、企画など
  • 新人1人に先輩コーチ2人がつく育成体制。勤務は8:10〜17:00で残業ほぼなし、5日連続休暇制度あり
キミへの問い

お金を「預かる・貸す」だけなら機械でもできる。わかしんの仕事のうち、人間にしかできない部分はどこだと思う?

答えはワークシートの企業研究欄にメモしよう。
02|エネルギー・技術

株式会社
ユーラステクニカルサービス

日本最北の「風のまち」で、風車を止めない仕事。

1どんな会社?

なにをする会社風力発電所の運転・保守メンテナンス(O&M)専門の会社
グループユーラスエナジー(国内風力最大手・豊田通商グループ)の100%子会社
稚内の拠点北宗谷事業所(緑5丁目)/宗谷拠点(宗谷岬のふもと)/天北拠点(声問)など
規模全国37カ所・約400基の風車の運転・保守を約170名で担当

2仕事の中身をのぞく

風車は建てて終わりではない。約20年間、毎日誰かが見守り続けないと回り続けられない。それがこの会社の仕事。

  • 風車や送電設備を巡回して、不具合・摩耗・損傷がないかチェック
  • 定期点検は風車1基に約2.5日。タワーの中のはしごを登って、高さ85mの「ナセル」(てっぺんの機械室)へ
  • 2人1組で油圧トルクレンチ(約20kg)を使い、タワーのボルトを1本ずつ締め直す
  • 東京の監視センターと連携して、24時間365日、風車のデータを見守る
  • 1日は朝礼と危険予知(KY)活動から始まる。安全が最優先の世界
稚内は年間平均風速 約7m/s、風速10m/s超の日が年90日以上ある国内有数の「風の適地」。だからこの仕事は、稚内にしかない形で存在している。

3稚内の誰の・何の役に立っている?

稚内で暮らす全員の
電気の役に。稚内市内の風車は136基。市民が使う電力の約4倍を発電し、宗谷岬ウインドファーム(57基)だけで市の年間消費電力の約6割に相当する。稚内は「使う分の4倍の電気をつくって送り出すまち」。
北海道じゅうの人の
くらしの役に。道北でつくった電気は約78kmの送電線で札幌方面へ。豊富町には風の強弱をならす世界最大級の蓄電池もあり、道内の家庭・学校・病院に安定した電気を届ける大動脈になっている。
これからの稚内の
新しい仕事の役に。2027年、風車の電気に直結した国内初のグリーンデータセンターが稚内に誕生予定。「風の電気」が新しい産業と雇用を稚内に呼び込みつつある。
地球と未来世代の
環境の役に。稚内市は2011年に「環境都市宣言」をしたまち。CO2を出さない電気をつくり続けることは、そのまちの看板を支える仕事でもある。

4ここで働く人

  • 未経験からの入社が多く、OJTと資格取得支援で育てる文化。電気主任技術者には資格手当
  • 千葉に自社トレーニングセンターがあり、風力業界の国際安全資格(GWO)を取れる
  • 定期メンテ中心なので計画的な働き方。求人票ベースでは残業月8時間ほど・土日祝休み
  • 稚内・宗谷の事業所に常駐=地元に住みながら、20年続くエネルギーの仕事ができる
キミへの問い

稚内の風は、昔は「ただ強くて大変なもの」だった。それを「まちの資源」に変えたのは人の仕事。キミの身の回りに「大変なもの」で、まだ資源に変わっていないものはある?

答えはワークシートの企業研究欄にメモしよう。
03|建設・ものづくり

株式会社ササキ

道路も港も除雪も。「人間が生きるために、なくてはならない仕事」。

1どんな会社?

なにをする会社道路・漁港・除雪・建築を手がける総合建設企業
創業1953年、猿払村で「佐々木組」として個人創業。2023年に70周年、「100年企業」を目指す
本社稚内市末広5丁目(ほかに猿払本店・札幌支店)
規模社員86名。一級土木施工管理技士19名などプロ資格者が多数
グループ生コン・ダンプ運送・ガソリンスタンドの会社も持ち、工事をグループ内で完結できる
企業理念は「全従業員の物心両面の幸福を追求すると共に、地域の人々の暮らしを豊かにする。」——採用サイトの言葉を借りれば、これは「人間が生きるために、なくてはならない仕事」

2仕事の中身をのぞく

  • 土木部:3D測量やドローンを使って現場を管理。資格を取れば「現場代理人」=現場のトップに
  • 工務部:タイヤショベルやクレーンの重機オペレーター。冬は除雪車で出動
  • 船舶課:起重機船・ひき船の船員として、港の工事を海の上から支える
  • 建築部(SASALABO):一級建築士事務所として注文住宅や公共施設も
  • 重機の免許は会社が全額負担で取得できる。小さい機械から段階的にステップアップ

3稚内の誰の・何の役に立っている?

冬の朝、通学・通勤する全員の
道の役に。国道238号や道道稚内天塩線の除雪を毎年度担当。キミが冬の朝、学校に行けるのは誰かが夜明け前に除雪車を走らせているから。地吹雪から道路を守る防雪柵も建てている。
ホタテ漁師・水産のまちの
港の役に。抜海・東浦・浜鬼志別など宗谷の漁港で防波堤・岸壁・浚渫(海底の土砂さらい)を続けてきた。漁船が安全に出入りできる港がなければ、稚内の水産業は成り立たない。
災害にあった地域の
復旧の役に。川の災害復旧、山崩れを防ぐ治山、防災林の造成。何かが壊れたとき、真っ先に直しに行けるのは地元に人と重機がある会社だけ。
子どもと家族の
くらしの役に。学校給食センター、児童館、介護施設、住宅も建てる。さらに、いちご狩り農園「北のwaiwai農園」や公園の運営まで。まちの日常の「入れ物」を作る仕事。

4ここで働く人(高卒採用あり)

  • 高卒採用の募集要項あり:土木施工管理・建築施工管理・大工・重機オペレーターなど。必要資格は普通自動車免許のみ
  • 転勤なし・通年雇用。土日休み+地域のお祭り休暇(稚内・猿払)、独身寮完備
  • 高校生向けの職場見学・オープンカンパニーを通年実施
  • 先輩の声:「職場見学で仕事に魅力を感じて入社。人のためになるものを作っていきたい」(土木部・2024年入社)
キミへの問い

今朝、家から学校まで来る間に「ササキのような会社が作った・守っているもの」をいくつ通ってきた? 思い出して数えてみよう。

答えはワークシートの企業研究欄にメモしよう。

3社を見終わったキミへ

お金を回す仕事。風車を回す仕事。まちをつくり直す仕事。3つはバラバラに見えて、ぜんぶ「稚内の誰かの、何かの役に立つ」ところでつながっていた。

そして気づいたはず。「誰の・何の役に立つか」は、会社のホームページには書いていないことが多い。自分で問いを持って調べた人にしか見えない。

次はキミの番。気になっている求人票の会社に、同じ問いをぶつけてみよう。——その仕事は、稚内の誰の・何の役に立っていますか?